裏庭が小山になっている住宅です。裏庭には、果物や野菜を栽培されていて同時に子供たちの遊び場です。地方でも核家族化が進み敷地が広いため同一敷地内に若夫婦の別棟を立てるという風潮とは逆に大家族が屋根の下一つに暮らすという生活を望められ、大きな一枚の大屋根の下での生活が展開します。
屋根の下全体が、ワンルームの家族みんなの空間で、その中に個人空間が点在します。

敷地は、裏庭から下ると遠くに湖と繋がる大きな軸線とそれと連なる風の道がありました。前面と裏面に開口部を集中し光と風を呼び込み、裏庭からのアプローチはテラスを通り大階段と通じ自然と一体となる日本の美意識を喚起されます。

旧家の記憶を継承する

施主様から和風であること瓦屋根が好きであること旧家の調査により再利用できる材料が豊富にあることと大きな仏壇の移設と様々なイベントのための和室や農家であるので野菜を調理するまでの家事室の動線の検証を行いました。仏間周りのプランはほぼ写しにし旧家の記憶を伝承することを考えました。

裏庭と繋がる大階段は、日本の季節のイベントごとに飾り付けられるステージです。です。床下を外せば収納になっています。旧家の床板をカンナにかけ古色の塗装をしています。

全体の色調を考えながら建具の色を調整しています。いわゆる民芸調よりも明るい茶色を目指しました。

旧家の材料は設計図にそのままの姿図で記載し間違いのないようにしてます。そのまま使うものもあれば加工して使用されました。

火の周りにみんなが集まるように馬蹄形のピットダイニングをデザインしました。田舎の大きな家は、和室が一番日当たり良い場所に配置され、台所・リビングはどうしても暗い場所に追いやられてしまいます。そこで、頭上にトッブライや軒下のスリット窓によりみんなの空間を明るくて気持ちのいい空間を実現しています。

朝やちょっとした食事は、アイランドキッチンで。壁面を出窓にし手元が明るく広くし調理が楽しくなる空間を考えました。農家でしたので野菜の下洗い・パントリー・イベント時の調理の使い勝手と様々な使い方が想定されたので模型を使ってお施主様と慎重にデザインを決定していきました。旧家にあった水屋を洗いにかけて再利用しています。ゴミ分別・電気製品も壁に収めすっきりとしたキッチンになっています。


ページの先頭へ
リビングから大階段を通じ裏庭との間にあるスタディルームです。こども部屋は、着替えと睡眠だけにして、遊びや勉強の生活行為をスタディルームで過ごします。

子供部屋は、家具で間仕切り一人一人の個性を生かすために家具の割付けやロフトの形状を聞き取りながら決定しました。子供達が独立した頃には家具が移動して別用途の空間にリフォーム可能です。

寝室の窓は吹き抜けを挟みトップライトの窓を通じ外部を望みます。冬場の吹き抜けの暖かい空気を取り入れます。

大屋根をくり抜き書斎に面するテラスを設けました。遠くに湖を望みアルミ葦簀により遮光しています。裏山に面するテラスは、下部がドライエリアになっているため風と光を通す樹脂製のグレーチングをはめています。


ページの先頭へ
和室は、普段は、床の間ある物と仏間・寝室の3部屋ですが壁の中に収まる引き込み戸を開けると3部屋が繋がる広いワンルームが出現します。開口部は、両面にあるため風の抜けが良くて田舎にある大きな家の夏の涼しさを体験できます。それぞれのイベントごとに使い分けができるように仏壇を隠せるようにしています。

大階段の下は、収納になっていますが、茶室のような特別な空間としても使えます。床の間の仕上げは、お施主様と京都で見つけた和紙が重ねて貼られています。

煤竹「すすたけ」

旧家に大量の煤竹を発見しました。欄間や天井の仕上げ材に贅沢に使用されています。

和室部分は、リビングと色調を変えました。天井の仕上げ材は、薄いゴールドの和紙と間接光の組み合わせです。寝室部分は、WC・洗面・収納・坪庭を壁の中に収納しました。


玄関の提灯置き場。旧家にあったものを再利用しています。

玄関の那智黒石の洗い出し仕上げ。


ページの先頭へ
広くて大きな空間が必要だったのと自然災害に強くするために主要な構造体のみを鉄骨造にしました。柱のメンバーを100x200として、ベタ基礎に柱を乗せ寝巻きによる基礎の巨大化を避け木造のディテールに近づきながら大空間で木造のもつ繊細さを再現しています。
他の住宅作品を見る